この記事は社労士試験に独学10ヵ月で挑戦して択一27点、選択40点で不合格となった私の勉強の記録です。(受験したのは2025年です)
記事の目的は来年度の本試験に向けての自分の振り返りですが、同じ独学で勉強される方にとって何かの参考になればと思います。
前提条件
まず、社労士試験の受験にあたっての前提となったことを整理しておきます。
勉強のキッカケ
社会人になってからのほとんどを、企業の人事部でキャリアを積んできました。
社労士を取ろうと思ったキッカケは、「人事キャリアにおける差別化」です。
40歳になり、前職の会社が50歳以上の社員を対象に早期退職勧奨を始めたりと、このままの成り行きでキャリアを積んでいくことに不安を覚えたことが大きなキッカケです。
社会人になって最初はSEをやっていたので、「ITに強い人事」ということで評価されてきて、情報処理試験(基本情報、応用情報、高度試験)は持っている強みを感じてきたので、人事系資格の最高峰を取得することで、ITと人事の両面で、経験に加えて資格を備えておこうと思いました。
独学にした理由
まず学習を始めるに当たって、予備校を使うかで迷いました。
- 簿記やファイナンシャルプランナー、情報処理試験などはすべて独学で取得してきたこと
- 社労士の講座は高額で、本当に受験まで辿り着けるか不安だったこと
以上の点から、1年目は独学でチャレンジして、ダメだったならその時はもう一度考えよう!と考えて、独学にしました。
使ったテキスト・問題集・アプリ

まず、
- ユーキャンの社労士 はじめてレッスン
- ユーキャンの社労士 速習レッスン
- ユーキャンの社労士 過去&予想問題集
- 大原 択一式トレ問 ※アプリ
- 過去問ランド(7年分) ※WEBサイト
- 秒トレ ※アプリ
- 大原 選択式トレーニング問題集 ※安衛・労一・社一のみ
- 社労士V イラストでわかる労働判例100
- 社労士V ※白書・統計対策号、改正対策号のみ
- LEC市販模試
- LEC公開模試3回・ファイナル模試
これに加えて、自作の横断整理サブノートを中心に学習を進めました。
(それぞれの教材のリンクは、順次紹介していきます)
学習の記録
社労士の勉強を開始したのは、10月中旬に翌年度の社労士試験のテキスト・問題集が発売され始めてからスタートしました。
10月
まず最初に、社労士試験の全体像を掴むために、ユーキャンのはじめてレッスンを2週間かけて通読しました。

正直、1回読むだけでは、細かいところはまったく頭に入らず、「そんな仕組みになっているんだなぁ…人事の仕事を長くしているけど、知らないことがたくさんあるなぁ…」と思った次第です。
この段階で、どのような試験なのかを確認したかったので、10月末に2024年度の本試験問題を解いてみました。正直、分からなさすぎて、半分くらいの時間で解き終わってしまいました。
その結果がこちら。
■選択式:40点満点中17点(42.5%)
労基 | 労災 | 雇用 | 労一 | 社一 | 健保 | 国年 | 厚年 | 計 |
1 | 3 | 1 | 3 | 2 | 3 | 0 | 4 | 17 |
■択一式:70点満点中25点(35.7%)
労基 | 労災 | 雇用 | 一般 | 健保 | 厚年 | 国年 | 計 |
4 | 5 | 1 | 4 | 6 | 3 | 2 | 25 |
基準点割れのオンパレードです。
「ここから、合格基準点(選択式が各科目3点以上、択一式で45点)に持っていくのは、並々ならぬ学習量が必要なんだな。」というのを肌感覚として掴めたのは、非常に良かったと思っています。
あと、択一式で国民年金・厚生年金が全く取れないことに衝撃を受けました。一刻も早く、年金科目の完成度を上げることが重要だと感じました。
「とにかく雇用保険と年金(国年・厚年)を仕上げていかないと、勝負の土俵に上がれないな。」というのを痛感しました。
おそらく、学習を始めて1か月弱で過去問を1セット解く人は少ないとは思うのですが、このタイミングで社労士試験の過酷さ、合格基準を満たすことの大変さを実感できたのは非常に有益だったと思います。
個人的には、試験勉強を本格的に始める前(予備校に課金する前)に、「ユーキャンのはじめてレッスン」を一読して、前年度の本試験問題を通しで解くことを強くオススメします。
実際に解いてみた感触から、撤退をすることも大いにアリだと思います。
11月~1月
続いて、ユーキャンのテキストと問題集をひたすら読んでは、問題を解いていきました。
ユーキャンのテキスト・問題集を選んだのは下記3つの理由からです。
- 分厚すぎないこと(独学で読み切れる量であること)
- フルカラーではないこと(フルカラーは目がチカチカする…)
- テキストに対応している問題集があること
以前、ファイナンシャルプランナーの資格を取得した時にも、ユーキャンのテキストを使っており、合格レベルに必要な情報がコンパクトにまとまっていたことも、ユーキャンを選んだ理由です。


今振り返っても、初学者が学習の中心に据えるテキストとしては、ユーキャンはとても良いと思います。もっと情報量の多いテキストは他にもあるのですが、初学者にとっては、そこまで追い求めずに、合格最低点を取りにいくのが現実的だからです。
基本的には、各科目ごとを一気に読み、問題集を解きながら、テキストの該当箇所を読み直す、という作業を繰り返しました。
科目毎にひたすら上記の作業を繰り返していく日々でした。
テキストも2周目、3周目ともなると新鮮味も無く、とはいえなかなか理解も出来ず、更に問題集の正答率も悪く、と本当に間に合うのかが不安になる時期でした。
この辺りが受験期間を通して一番キツイ時期でした。
全体を理解出来る日がいずれ来ると信ながら繰り返して行きました。
2月~4月
2月頭に、初めての模試を自宅で受験してみました。
模試と言っても、「ユーキャンの社労士 過去&予想問題集」の巻末に付いている模試です。
その結果がこちら。
■選択式:40点満点中27点(67.5%)
労基 | 労災 | 雇用 | 労一 | 社一 | 健保 | 厚年 | 国年 | 計 |
4 | 2 | 5 | 3 | 1 | 3 | 5 | 4 | 27 |
■択一式:70点満点中38点(54.3%)
労基 | 労災 | 雇用 | 一般 | 健保 | 厚年 | 国年 | 計 |
4 | 6 | 6 | 7 | 3 | 6 | 6 | 38 |
「あれ、以外と点を取れてるじゃん!」と思いました。基準点割れは選択は社一、択一は健保だけでしたし、総合点も取れていると思いました。
が、はっきり言って、ユーキャン市販問題集の巻末の模試は、本試験とは比べ物にならないくらいレベルが低いです。(当時は分かっていませんでしたが…)
なので、このユーキャン市販問題集の模試を試験直前に受験するようでは、まったく間に合わなくなるので、お気を付けください。
初学者の人であれば、この模試を早い段階で受けておく意味は大いにありますが、受験経験者は受ける必要はまったく無いと思います。
2月の中旬から、「このままユーキャンのテキスト・問題集だけでは、本試験で戦えない。問題演習を増やす必要があるな。」と思い、ここから、下記の問題集を追加しました。
過去問ランド
社労士試験は、過去問で出題された論点が繰り返し出題されるということで、過去問ランドを利用し始めました。
あまりに昔の問題を解いても意味がないと考え、過去7年分を解くことにしました。
過去何年分の過去問を解くか?は自分が使える時間によって調整するところだと思いますが、最低でも5年、最大でも10年だと思います。
過去問ランドは「画面がスマホ対応されていない」というのが最大のデメリットではありますが、それを補って余りあるメリットがあると思います。
択一の一問一答形式の問題集は数多く出版されていますが、過去問をやり込むうえで、過去問ランドを上回るコンテンツはないと思います。
これが無料というのが、意味不明なんですよね…有料化して、スマホ対応してくれたらと思います。
今振り返っても、ユーキャンの問題集ではなく、過去問ランドを学習の当初から活用できていれば、結果は違っていたかもしれないと思っています。
大原 択一式トレ問
大原の書籍の択一式トレーニング問題集のアプリ版です。
必ず押さえなければならない論点が網羅されていて、アプリのユーザビリティも極めて高いです。
移動時間にはこのアプリを使って学習しようと思いましたが、考えなければ解けない問題も多く、結果として、座学時間に解くことが多かったです。
秒トレ
隙間時間の有効活用のために、ネットで話題の秒トレを活用することにしました。
安いですし、隙間時間の有効活用にはピッタリで、すべての社労士受験生が活用すべきだな、と思います。
1日50問を目安に解いていました。
5月
2月~4月の3ヵ月間で、過去問ランドと択一式トレ問を2回転以上できたので、GWにLEC市販模試の1回目を受験してみました。
LEC市販模試は2,000円で2回の模試が受けられるのでコスパがよいのと、極端に難しい問題は少な目なのが、初学者にとって良いと思います。

2回セットのうち、1回目の模試の結果がこちら。
■選択式:40点満点中21点(52.5%)
労基 | 労災 | 雇用 | 労一 | 社一 | 健保 | 厚年 | 国年 | 計 |
3 | 2 | 3 | 2 | 2 | 1 | 5 | 3 | 21 |
■択一式:70点満点中40点(57.1%)
労基 | 労災 | 雇用 | 一般 | 健保 | 厚年 | 国年 | 計 |
8 | 5 | 5 | 7 | 5 | 6 | 5 | 41 |
選択の基準点割れが多く、択一の年金科目の点が伸びないことに焦りを感じ始めます。ただ、それでも択一で40点を超えていたので、「このまま点を伸ばせば、択一で45点に乗せることは、不可能ではないかもしれない…!」とテンションが上がりました。
基本的には、過去問ランドと択一式トレ問を繰り返し、苦手な論点を潰す、という作業を繰り返していきました。
意識していたのは、できる限り毎日、年金科目に触れる、ということです。
5月下旬にはLECの公開模試(1回目)を受験しました。水道橋本校で受験しました。
その結果がこちら。
■選択式:40点満点中30点(75.0%)
労基 | 労災 | 雇用 | 労一 | 社一 | 健保 | 厚年 | 国年 | 計 |
3 | 4 | 5 | 3 | 3 | 2 | 5 | 5 | 30 |
■択一式:70点満点中43点(61.4%)
労基 | 労災 | 雇用 | 一般 | 健保 | 厚年 | 国年 | 計 |
5 | 5 | 5 | 8 | 6 | 8 | 6 | 43 |
選択の健保で基準点割れとなるも、択一式で43点とB判定でした。
この時点では、「あと3ヵ月あるから、選択式対策、判例対策、白書統計対策をしっかりすれば、合格するかもしれない。」と思い始めました。
6月
ここから、



続いて、LEC市販模試(2回目)を受験しました。
■選択式:40点満点中26点(65.0%)
労基 | 労災 | 雇用 | 労一 | 社一 | 健保 | 厚年 | 国年 | 計 |
3 | 5 | 4 | 2 | 3 | 3 | 4 | 2 | 26 |
■択一式:70点満点中42点(60.0%)でした。
労基 | 労災 | 雇用 | 一般 | 健保 | 厚年 | 国年 | 計 |
6 | 7 | 5 | 6 | 5 | 7 | 6 | 42 |
続いて、6月下旬にLECの公開模試(2回目)を受験しました。
■選択式:40点満点中29点(72.5%)でした。
労基 | 労災 | 雇用 | 労一 | 社一 | 健保 | 厚年 | 国年 | 計 |
4 | 5 | 4 | 3 | 2 | 4 | 3 | 4 | 29 |
■択一式:70点満点中40点(57.1%)でした。
労基 | 労災 | 雇用 | 一般 | 健保 | 厚年 | 国年 | 計 |
5 | 6 | 5 | 6 | 6 | 6 | 6 | 40 |
7月
クレアールのヤマ当て模試
■選択式:40点満点中27点(42.5%)
労基 | 労災 | 雇用 | 労一 | 社一 | 健保 | 厚年 | 国年 | 計 |
3 | 4 | 5 | 2 | 5 | 3 | 1 | 4 | 27 |
■択一式:70点満点中40点(35.7%)
労基 | 労災 | 雇用 | 一般 | 健保 | 厚年 | 国年 | 計 |
6 | 7 | 4 | 9 | 6 | 8 | 5 | 45 |
続いて、7月下旬にLECの公開模試(3回目)を受験しました。
■選択式:40点満点中29点(72.5%)
労基 | 労災 | 雇用 | 労一 | 社一 | 健保 | 厚年 | 国年 | 計 |
5 | 4 | 4 | 3 | 3 | 5 | 4 | 4 | 32 |
■択一式:70点満点中37点(52.9%)でした。
労基 | 労災 | 雇用 | 一般 | 健保 | 厚年 | 国年 | 計 |
6 | 4 | 5 | 2 | 7 | 6 | 7 | 37 |
8月
続いて、8月頭にLECのファイナル模試を受験しました。
■選択式:40点満点中33点(82.5%)
労基 | 労災 | 雇用 | 労一 | 社一 | 健保 | 厚年 | 国年 | 計 |
4 | 4 | 3 | 5 | 5 | 4 | 3 | 5 | 33 |
■択一式:70点満点中41点(58.6%)でした。
労基 | 労災 | 雇用 | 一般 | 健保 | 厚年 | 国年 | 計 |
7 | 6 | 4 | 8 | 8 | 5 | 3 | 41 |
本試験の結果

いよいよ本試験です。試験会場は東京の武蔵大学です。
仕事や育児との両立の中、ここまで辿り着いたこと自体に感謝しつつ、本試験に臨みました。試験を受けている最中のことは、いつか別の記事でまとめたいと思います。
自己採点の結果がこちらです。(赤字は基準点割れ)
■選択式:40点満点27点(67.5%)
労基 | 労災 | 雇用 | 労一 | 社一 | 健保 | 厚年 | 国年 | 計 |
4 | 2 | 5 | 3 | 2 | 5 | 2 | 4 | 27 |
■択一式
70点満点で40点(35.7%)でした。テキストを
労基 | 労災 | 雇用 | 一般 | 健保 | 国年 | 厚年 | 計 |
6 | 8 | 3 | 6 | 4 | 7 | 6 | 40 |
選択式で労災、社一、厚年で基準点割れ。択一は雇用で基準点割れです。
択一式は、雇用が基準点割れしたのと、厚年・国年で点数を伸ばせなかったことが敗因だと思います。
仕事や家庭との両立の中で、ベストは尽くしましたが、あと一歩届かず、とても悔しいです。
2025年度(令和7年度)の本試験は、テキストや模試に掲載がない論点が数多く出題され、問題を解きながら、手ごたえはまったくありませんでした。
振り返り
- 独学でも、やり方次第で勝負の土俵に上がることができることは分かった
- とにかくすべての範囲のテキスト読み・問題演習を1回転はいかに速く終わらせて、何回転もする、というのが重要。
- 判例対策が計画的にできた
- 統計対策もできていた
- 選択式は運の要素をできる限り排除しつつ、社一・労一は運の要素も大きい。
- 横断整理サブノートはすごい効果があった
- 択一の雇用の基準点割れは、落ち着いて解けば5点は取れた。これだけでもプラス2点。
- 数字を覚え切れていなかった。記憶の精度、解像度。
- 基本的な問題(絶対に落としてはならない問題)を落としていた
- 過去問ランドや択一式トレ問をひたすら解くのでは、限界がある。大事なのは解く回数ではない。苦手な問題をテキストに書き込みつつ、テキストをしっかり読み込んで理解、暗記することが重要。
- 年金を最後まで得意科目にできなかった
- 択一式⇆選択式で出題されることがある。過去問の択一式は、選択式で出題されるかも、という気持ちで読むこと。
- 厚年・国年も落ち着いて、知っている知識を組み合わせれば8点は取れた
- 雇用保険の択一式で基準点割れ
- 健保は4点とギリギリだったが、見直してみてもかなり難しい…5点くらいかなぁ…
- 日々の勉強で問題を解くことだけに集中しすぎてしまった
- テキスト読みが必要だったかなと
- 模試を7回も受けたのに、戦略をきちんと立てられなかった
- 特例納付保険料とか弱い論点が散見された
- 健保の「患者申出療養」とか、基本的な用語を押さえられていなかった
- 問題を回転させすぎて、答えを覚えてしまっていた。意味がない…
- 選択式では国語力も大事。しっかりヒントを読み取ろう。
- 択一の過去問を選択式で出題されるかも、というつもりで解く。
- 社一の選択で分からない問題で、知っている用語から選ばない。知っている用語で当てはまらないんだから。
- 社一の総則をしっかり読む習慣を付ける
- 模試はクレアールは不要かな。。
- 来年に受ける模試は、大原2回とTAC2回、LEC4回かなぁ…
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